メカニカル-メモリアル~めかめもっ!~

東京工業大学.rogy.ROBO-ONE,メカトロ技術系ブログ

ESP32で照明をつけてみた(ハード編及び総括)

してみました。実際の動作はこの動画を見てください(動作は1分3秒から)。


[ESP32]スマホから部屋の電気をつけてみる

 こちらのブログ記事のために作った作品です。実用目的ではありません。 http://titech-ssr.blog.jp/archives/1067443012.html 全体のソースコードは当面非公開の予定です。
当記事は制作する上で必要となった技術や考えを書いています(ハード編)。

電動と手動の両立について

 今回必ず達成しようとした部分です。このため、アルミ角と曲げ板の組み合わせの不思議な形になってしまいました。all 3Dプリンタも考えたのですが、両面テープでフレームが壊れてしまうこと、製造時間とコストの点でフレームは金属製にしました。

フルカラースイッチの固さ

 動画にも出したフルカラーのスイッチ。
fullcolorswitch
 最近は軽い力で,しかも押す場所が広いコスモシリーズが普及しつつあります.多分コスモシリーズの方が押しやすいです(on-offの区別が難しいですが)。動画では新規性といっていますが、部室がコスモシリーズだったらそっちに対応した作品を作っていたと思います。
 さて、フルカラースイッチの押す固さですが,私の感覚で試してみたところ、10 N(ばねばかりの引張り具合と比較)あればスイッチを押すことはできるだろうと考えました(部室のスイッチはやや固めです)。futabaのRS304(トルクは5.0 kg・cm)はロボワン用に購入したものがあったので使いました。UARTの練習にもなりますし。過剰スペックな気もしますが、弱いサーボだとフレームとスイッチの固定の甘さ次第では厳しそうです。

減速して弱いサーボを使用することについて

 上にも書きましたが、今回スイッチを押すのに十分強いトルクのサーボを使いました。しかし、今回使用したサーボの移動は15 °程度で,サーボの可動域のごく一部しか使いません。であればもっとトルクの弱いサーボを減速して使えばいいのですが、スペースを取るので止めました(途中まで設計していましたが、装置の高さが50 mmほどになったので断念しました)。IoTにサーボ1つ以上の大きさのものをつけるのは難しそうです。

フレームを両面テープで取り付けることについて

 ユーザーインターフェース(スイッチとかタッチパネルとか)にアクチュエータをとりつけるには両面テープが手っ取り早いと多くの人は考えると思います。今回は初IoTなのでありふれたアイディアの両面テープを採用しました。 www.monotaro.com 今回使用した両面テープです。粘着テープの長さは100 mm程度,片面はアルミニウム,片面は汚れたステンレスです。monotaroの粘着力の定義がよく分からないですが,片面が50 N、もう片面が83 N程度,面に水平方向の力に耐えられるということでしょう。今回まさしく知りたいのは面に垂直方向な力ですが、参考程度に見ておきます。スイッチを押すのが10 Nですから,作用反作用を考えても余裕に思えます。
 が、実際はどんどんはがれていきました。10回もスイッチのon-offをしないうちに全体がはがれはじめ,自重すら支えられなくなります。これは ステンレス面の汚れが強く影響していると考えられます。
 ハードによる対策として考えられるのは、
・相手が磁性体であれば磁石で取り付けること
・平らな面を周囲に確保できるのであれば吸盤で力の一部を支えること
・面以外に固定できる部分を確保すること ・部室をきれいにする
あたりでしょうか。粘着力を上げるのは部屋を壊しかねないので厳しそうです。

つまみのデザインについて

 動画にも載せていますが,持ち手がアルミ角のままではそっけないということで3Dプリンタでチーズを作り,アクリル絵の具で色を付けました。
つまみのデザインがチーズ つまみだからチーズwwwと部室で言ったらレバーなんだからレバー(肝臓)でいいのでは? と返されました。センスのある人ばかりの部室です(自分だってセンスあるよ!)。

総括

 今回の作品の完成までをたどっていくと,
3月下旬:評価ボードを買う、今作品の着想を練る、SDカードの通信とwifiへの接続ができる
4月:別のものを作成(いつか記事にしたい)
5月:進級して忙しい。string型に悩む 6月:進級して忙しい。htmlをちょこちょこ弄る
7月:ハード設計開始、完成、動画撮影
8月:動画編集、ブログ記事
 ……動画編集とブログ記事化だけで1カ月かけたのはいけなかったなあ……。いやしかし、少しも実用しようとか考えていないのに、よくもまあこんなに長い期間頑張れたものです。むしろ褒めてほしい。
 esp32の学習自体は優秀なサンプルのおかげでやりやすく、C++をある程度理解した上ならソフト的には2週間もあればこれくらいは作れる気がします(C++を理解していないので辛かった)。そういえばMFTに行ってきたのですが、esp32はすごく流行っていましたね。高校生にも使っている人がいて、今後の電子工作界隈が楽しみです。
 IoTとサーボの組み合わせについて。一応今回作ったものはIoTなわけですが、実用には程遠い作品です。何が厳しいというとハードが厳しい。ビジュアルが美しくないですし、固定が甘くて安定しない。既存の装置の拡張は、通常の使用の妨げになりかねないですし(今回はレバーを用意して両立を目指しましたが、やはり機能性は落ちていると思います)、難しい。じゃあIoTで明かりをつけるのが間違いかというと、あまりそうだとも思わない(家帰ったら自動で家の明かりがついて、パソコンもついて、レンジでご飯が温まり始めてちょうどいいタイミングでお風呂が湧いて欲しいじゃないですか)。
 で、私が思うIoTの正解は、IFTTT対応の家電を使う、ではないでしょうか。もちろんIFTTTでなくとも、そういうサービス、そういう機能があればいいのです。最初から拡張性を持たせた個々の装置を用意して、能力が比較的高いサーバー(ローカルでも外部でも)がその管理を行う。これが今後10年程度でできる適当な段階のIoTなのかなあと。

 などと戯言を述べつつ。今回の「ESP32で照明をつけてみた」プロジェクトは一旦終了にしようと思います。さて、次は何をつくろうかしらん?(ロボワンをしろ)